2021/01/05
ベル現象を知ってしますか?
瞬きの度に眼球が上に反転していることをそういいます。
知らないと驚くような現象です。
瞬きをする度に忙しく眼球が動いているのです。面白いですね。
これは1823年にベル博士が報告したものです。随分昔から知られています。
実はこれが脳波の大敵なのです。筋肉が動くと電気を発します。それを筋電と呼びます。これは脳波よりはるかに大きな電気です。(実はなんと1000倍)
また眼球も帯電しています。前後でプラス・マイナスがあります。
まるで電池です。それが瞬きの度に反転しているのですから、その近辺で大変微量な脳波を測定するのは至難の業です。
ベル現象を避けるためには瞬きをしないことです。じっと我慢するか、最初から眼を閉じ、閉眼で測定するかのどちらかです。
じっと耐えるには限界があり、また無理して耐えることが苛立ちや疲労につながり正確な測定を邪魔します。
某社が販売しているニューロフィードバックシステムをクライアントの一人が購入し、私の意見が欲しく持参しました。
それは鉢巻のようなものにセンサーが付いていました。それをおでこに付けゲームを行います。脳波をおでこから測定し、集中力が高まるとゲームが進行します。
鉢巻のセンサーにできるだけ近いところに私のセンサーを取り付け同時に測れるように設定しました。
多少の誤差はありかもしれませんが、これが十分正確に測定できそうです。
ゲームの開始に合わせ、私も測定を始めました。ゲームのポイントを得る時、脳波にどのような変化が起こるか確認しました。
すると予想通りのことが起こりました。ゲームのポイントを得ているのは設定した脳波の増加ではなく筋電でした。 つまりおでこに力を入れたり、瞬きを増やすことでより多くの筋電を発生させ得点していたのです。
これでは集中力のトレーニングではなく、おでこに力を入れるトレーニングです。やはりおでこにセンサーを付け、眼を開け、ゲームをしながら脳波測定は出来ません。
今回測定を頼まれた機材は集中力向上には役立ちそうもありません。
また例え機材がどんなに優れたものでもノウハウを知らない人が使ったら役立ちません。ニューロフィードバックは機材が行うのではなく、トレーナーがそれを使って行うものです。
どんなに素晴らしいメスを手に入れても外科医にはなれません。
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