2021/01/04
他の人に触れるということは、カウンセリングではタブーです。
触れると人間関係に変化が起こります。
思いが強くなるようです。
好きな人は更に好きに。
嫌いな人は更に嫌いに。
相手が自分を好きかどうかの判断するのに相手に触れると分かるそうです。
好意があれば、その気持ちが強まり、嫌われていれば避けるそうです。
試してみますか?
日本人はイタリア人、アメリカ人などと比べるとあまり触れ合いません。
握手もハグもあまりせず、お辞儀をします。
しかし正常な発達には他者との触れ合いが必要なようです。他者との触れ合いを制限し育てたチンパンジーはボディロッキングという体を前後にゆする動作を繰り返します。
まるで足りない触れ合いを求めているような動作です。
しかし触れ合いを制限されて育ったチンパンジーは不足しているはずの触れ合いに強い拒絶反応を見せます。そして他のチンパンジーに触れられることを怖がり嫌がります。本当は求めているはずなのに悲しい行動です。
そしてそれはチンパンジーだけでなく、人間の子供でも同じことが起こります。
戦後多くの孤児を抱えたイギリスでの話です。
孤児院の効率化を図るため個人的な触れ合いを無くし、栄養と睡眠を十分に与えることに専念しました。するとそこで育った子供は多くの問題を持つようになりました。意図せず、正常な発育に個人的な愛情と触れ合いが必要なことを証明したかたちになりました。彼らもまたボディロッキング行動を始めました。
もう少し私たち日本人はお互い触れ合う必要がありそうなのにコロナでさらにその状況は悪化しています。他人とはできるだけ離れよう。ソーシャルディスタンスです。
そしてまた日本には結界という考え方があります。
お祭りの時に縄を張り巡らしますね。
あれはしめ縄で、吊るしてある紙の飾りは紙垂(しで)と呼びます。
あれも結界を作って神様の通るところに結界を作っています。
結界とはその内にあるエネルギーを保持する空間。
聖なる領域と俗なる領域を分ける。
秩序を維持するために区域を限る。
日本では靴を脱ぐて家に入ります。
その習慣のせいか、家の中と外の境がしっかりとしています。
まるで家の中は結界のようです。
私たち個人にも結界がありそれをパーソナルスペースと呼びます。
親密な人はここまでいいが、それ以外の人はここまで。
知っている人はここまでいいが、知らない人はここまでとか。
相手によりスペースの広さは変わります。
男性の方が女性より広いとか、性別、文化により違いがあります。
今回はコロナのせいでソーシャルディスタンスという言葉がはやりました。しかしマスクや手洗いなどに比べこれはほとんど守れません。
相変わらず、ラッシュアワーの電車は混んでいます。
見ず知らずの人と体が接触しているなど結界でもパーソナルスペースでも、ソーシャルディスタンスでも考えられません。
きっとこの時はそれらのスイッチが切られているのでしょう。
それらもきっと都会暮らしのストレスの一つなのでしょう。
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