2020/12/26
脳の特定の部位に少量の電流を流すだけで別の人格になったり、怒ったり、笑ったり、興奮したりします。
ひと昔前は、1950年代、統合失調症などの一般的な治療法は前頭葉を切除するロボトミーと呼ばれる手術でした。まるで前頭葉は不要な組織のように。
考えただけで恐ろしい世界です。つい最近までですよ。
もう一つの治療法に電気ショック療法があります。
この療法は世界各地で行われ、1952年に新薬ができるまで、精神疾患治療法の花形でした。しかし、様々な抗精神病薬や抗うつ薬、気分安定薬などの開発により使用される頻度は、次第に減少していくこととなりました。
また、一部の精神科病院では、指示に従わない患者に対して、罰として使用していたことが明らかになり、人権問題として大きく取り上げられたこともあります。
ソ連においては、共産主義に反対するものは、統合失調症であるとしてKGBにより、精神科病院に強制入院させ、治療と称して電気けいれん療法を懲罰で実行していました。
現在は電気けいれん療法の安全性や即効性が見直されたことや、電気けいれん療法自体の改良が行われたことにより、再び精神科の治療において、重要な地位を占めるようになっています。
最近、これに代わる治療法として深部脳刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)が脚光を浴びています。
従来の方法に比べて手術に伴う副作用が少なく、両側に行うことができ、刺激の調節が可能という利点があります。当科では神経内科と連携して、経験豊富な医師によりDBS治療を行います。
DBSとは脳の深部に留置した電極からの電気刺激により、その部位の活動を抑えて、従来の外科治療で行われていた脳深部の破壊術と同様な効果を得るという治療法です。
実際には刺激電極を脳内の特定の場所に留置し、前胸部皮下に刺激発生装置を埋め込み、それらを皮下の連結ワイヤーでつないで脳内の刺激を行います。
DBSは可逆的で、手術に伴う合併症が少なく、体外からの遠隔操作により刺激の設定を変更することが可能で最適な効果が得られるように設定できるといった利点があります。
脳外科の手術の中では比較的脳への負担が少ない手術で、局所麻酔によって行うことが多く、手術中患者の意識があり会話をしながら(恐ろしい)効果を確認しながら手術を進めます。痛みは殆んど感じないそうです。
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