2020/11/25
英語と日本語を比べると時としてイエスとノーが入れ替わります。
会話をしていてイエスとノーが入れ替わると大変な問題です。
これは否定形の質問の時に起こります。
日本語では否定形の質問に対しイエスは否定を肯定します。つまり否定になります。少し複雑になるので実例を挙げます。
Don’t you like it ?
あなたはそれを好きではありませんか?
ここでYesと答えると否定を肯定しますので、日本語では好きではないが続きます。ところが英語では疑問が否定形であろうと肯定文であろうと好きがYesで好きでないがNoになります。
これは脳の働きに似ているかもしれません。なぜなら脳は否定形の処理が苦手です。
子どもの頃、催眠術の実演をテレビで観て驚いたことがあります。
これは本当なんだろうか、本当なら凄い。魔法のようです。
子供が魔法に憧れるようにその世界に入っていきました。
最初は本を読みました。昔はやったハウツー本です。
実は催眠術には脳に関する秘密が隠れていそうです。
その一つは催眠に使う暗示は肯定文を使い、否定文を避けると言うものがあります。脳は肯定文を好むようです。
例えば、「お腹が痛くない」と与える暗示は効果が薄く、「お腹が調子がいい。」の方が効果的なのです。
これは「お腹が痛くない」の「お腹」と「痛く」が入力され、否定の部分が入力されにくいのです。
これは、自分に何か言い聞かせる、自己暗示にも使える大事なポイントです。
覚えておいてください。
催眠術と言うと反感を覚える人がいます。術ではない。療法のひとつだと言うわけです。だからこれからは催眠療法と呼びます。その起源は古く古代エジプト時代に遡るようです。
一般的にはメスメル(1734~1815)が有名です。彼は動物磁気説を唱え集団治療をはじめました。これはメスメリリズムと呼ばれましたが、結局インチキということになってしまいました。
その後、イギリスで医師ブレイド(1795~1860)はメスメリズムを研究、工夫する中から現在でも使われることのある催眠誘導技法の一つである凝視法をあみだしそれを催眠療法と命名しました。
精神分析の創始者であるフロイトも初期の頃は催眠療法を行っていた。 ユングは催眠療法でなんだか分からないうちに治癒してしまうことが耐えられずに催眠療法をやめたと言っています。
日本では催眠療法の第一人者成瀬吾策は、池見酉次郎らとともに「日本催眠医学心理学会」を設立して学術面から催眠研究に尽力しましたが、動作を用いて人の生き方や健康を援助していく方法である臨床動作法を創始し、晩年はそちらに重心が移り、催眠や催眠療法からは離れています。
フロイト、ユング、成瀬と催眠に魅せられ学んだ人が後年にそれから離れていくいには理由がありそうです。
それは催眠が個人の技量と被験者の被暗示性の高さによる大変個人的な面があり、催眠にかからない人がいることに起因しているようです。
現代の日本の心理臨床界では認知行動療法や禅やヨガを取り入れたマインドフルネスなどの流行もあるが、今のところ一般に目立つのは吉田ひろ子先生などが提唱する前世療法的な立場の中で用いられる催眠療法くらいです。
なんだか催眠の話になってしまいましたが、ここで強調したいポイントは脳には否定形を入力しにくい点です。
暗示には勿論、自分への励ましの言葉や人に対しての褒め言葉も肯定文を使うと効果的です。
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