2020/10/27
自律訓練法(autogenic training)とは、1932年にドイツの精神科医ヨハネス・ハインリヒ・シュルツによって創始された自己催眠法で、リラクセーション技法です。ストレス緩和、心身症、神経症などに効果があります。
催眠状態の主観的な感じ「重たい」と「温かい」を考えるだけで催眠と似た心理・生理的状態に至れることに注目しました。
練習によって自分自身で心身の弛緩を体系的に進めるとその結果催眠と似た状態が自然発生的に作り出せるのです。
この状態は、疲労を回復し、ストレス緩和に役立ち、仕事や勉強の能率向上、抑うつや不安の軽減などの効果があり、自己免疫を高めます。またこれは多幸感の体験をもたらします。
それではそのやり方を見ていきましょう。
まず目を閉じて心を落ち着かせます。
ゆったりと呼吸し、
「気持ちがとても落ち着いている」と思います。
これが背景公式です。
続いて第1公式です。
「右腕が重たい」から始めます。
右腕は何キロあるのでしょう? 2〜3キロでしょうかね。普段は感じない右腕の重さ、感じてみましょう。太ももの上か、椅子の肘掛けの上か、どこにあるにしてもその重さを意識します。しばらく意識を右腕に集中し重さを意識してみてください。
どうです? 感じますか? 目を閉じると感じやすくなります。
重さを感じるまで続けましょう。
もし感じなければ、今回はこれで終了です。
改めてチャレンジしましょう。
右腕の重さを感じられたらしめたものです。
右腕の重さを感じることができたらつづいて左腕です。
この時の暗示は「左腕が重い」です。
ゆっくり確実に進めていきます。
「左腕が重たい」「右脚が重たい」「左脚が重たい」/「両腕が重たい」「両脚が重たい」/「両手両脚が重たい」
重さを感じることができたら続いて暖かさです。寒い場所でやるのは難しいので環境も意識しましょう。
第2公式
「右腕が温かい」これも右腕から始めます。生きているあなたの腕は暖かいものです。その温かさを感じてみましょう。意識を右腕に。
暖かさを感じられたら
「左腕が温かい」「右脚が温かい」「左脚が温かい」/「両腕が温かい」「両脚が温かい」/「両手両脚が温かい」
ここまでできたら素晴らしいです。両手両脚が重く、暖かい。これはもう催眠状態です。
第3公式
心臓が静かに打っている。
ここで意識を心臓にもっていきます。静かに心臓が打っているのを感じましょう。
落ち着いている穏やかな心臓の鼓動です。
第4公式
呼吸が楽になっている。
続いて呼吸を意識しましょう。ゆっくりとした長い穏やかな呼吸です。
呼吸が楽になっていくのではなく、すでに楽であることを意識します。
第5公式
お腹が暖かい。
さらに意識をお腹に・・・
第6公式
額が涼しい。
最後に額を意識します。ここでこれまでとは逆に涼しさを感じてください。
これらを心の中で繰り返しましょう。
自律訓練法では、変性意識状態になるので催眠を解くように消去動作が必要です。
多くの場合、特にリラックス効果を期待している場合は第2公式までを練習すれば十分です。
居心地の良い場所で楽な服装で、満腹、空腹を避け、1回5分、一日2~3回をめどにやってみましょう。
効果を感じるまでは次の公式に進んではいけません。
つまり最初は第1公式の「重い」だけを繰り返すことになります。
最初は背景公式の次に「右腕が重い」を30〜60秒繰り返したら直ぐに消去動作に移り1回の訓練は終わりです。
対象部位に効果が出るようになったら、次の部位を公式に組み込んでいく。「背景公式」、「右腕が〜」、「左腕が〜」、「消去動作」。
効果を上げるのに一番大事な事は、練習量が少なくても毎日継続することです。
毎日続けないと上達しません。
自律訓練法に慣れてくると短い時間でできるようになります。
それはこのように行います。
「気持ちがとても落ち着いている。・・・両腕・両脚が重たくて、温かい(数回反復)。・・・気持ちがとても落ち着いている。・・・心臓が静かに規則正しく打っている。・・・楽に呼吸をしている。・・・お腹が温かい。・・・額が涼しい。」
自律訓練法とは、科学的に証明された、免疫力を上げる、機材や金銭の不要な、トレーニングです。
このような時期には最適かもしれません。
日本では佐々木雄二先生が著作とその普及に努めました。
一部医療機関でも採用されています。
大変素晴らしいトレーニングです。一度体得すると一生使えます。
始める前に佐々木雄二先生の本を読まれることをお勧めします。
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