2014/01/08
人間の体には運動の効果を高めてかつ長続きさせるしかけがあって、それをうまく使えば体型も改善、ストレスも解消できます。
そのしかけとは、アドレナリン分泌の仕組みです。
アドレナリンは一般に闘争や逃走反射と結びつくホルモンなので、人類が生き延びるために大きな役割を果たしてきました。 危険な状況に直面すると、副腎がアドレナリンを血流に一気に流し込みます。これには、人間の生命を救うためのいくつかの効果があります。
荒野で荒れ狂った野生のヒヒに出くわしたときなんかは、アドレナリンが噴出されることでヒヒと格闘したり、全速で逃げたりといったアクションの役に立ちます。
アドレナリンが出ることで、副次的効果もあります。アドレナリンが脳に到達すると、エンドルフィンやドーパミン、ノルアドレナリンといった物質も出てきます。
Psychology Todayによればエンドルフィンにはモルヒネみたいに痛みを和らげる効果があり、ノルアドレナリンにもスピード(覚せい剤)みたいな効果、それからドーパミンはコカインを使うと出てくるのと同じ物質です。
アドレナリンが出てくると、体をだますことができます。
でももっと大事なのは、依存性を利用できるってことです。多くの人は、毎日ストレスという形でアドレナリンを貯めこんでいると思います。仕事の疲れ、車の運転中のヒヤリハット、恋人との喧嘩、などなど。これらはみんな体がストレスとして認識して、アドレナリンの放出を引き起こすものです。でもそのときにオフィスのイスとか車の中とか家のソファとかにいて何もしないと、アドレナリンもそのままになってしまいます。これは良くないことで、その理由を次に説明します。
アドレナリンをある種の強い運動で分泌させて運動し終わると、その後気持ち良くなる物質が分泌されます。体の報酬システムが陶酔感や平和を感じる物質を出します。
だから適切な運動をすると、その日のストレスを解消できるだけじゃなく、恍惚感にひたることができます。
ただ注意が必要なのは、脳がその報酬システムの出す物質をもっともっととたくさん要求するあまり、「もし体が激しく運動したら、その後気持ち良い物質が出る」ってことを記憶し始めるってことです。 ひとつ避けるべきなのは、アドレナリンを貯め込むだけで有効に使わないことです。貯め込んだアドレナリン(ともうひとつ、副腎がストレスに対応して出すコルチゾール)は継続的なイライラやストレス感の原因になり、いろんな副作用を起こします。そんな状況にあると、体は自分が生きるか死ぬかの状況にあると考え、そこから脱するために不要不急の体の働きを抑えてしまいます。 食べ物の消化は最初にシャットダウンされることのひとつですし、免疫システムも抑制されます。それから睡眠も取りにくくなるし、心拍数とか血圧も上がりっぱなしになります。
この状態が続くと、健康的じゃなくなります。だから運動、それも正しい運動が、健康を維持するには必須なのです。 アドレナリンが出るようなスポーツなんて自分とは無縁、と思っている人でも、普通の退屈でストレスフルな仕事をしてるだけで、アドレナリンは貯まっていきます。
アドレナリンが出るくらいのワクワク感があって、さらに強度の強い筋肉運動もできるようなスポーツがいいのです。
アドレナリンは厳しい場面から抜け出すためのものなので、長くゆっくりしたジョギングはオススメしません。強く、集中的な運動がいいです。
きつい運動とゆるい運動を交互にするインターバルトレーニングって、想像するだけでげんなりする人も多いと思います。 だってゆっくり一定ペースの運動の方が、ずっと楽ですもんね。でも、ストレスとか無駄なアドレナリンを発散するにはインターバルトレーニングが適していて、それに運動の効果も早く出ます。 インターバルトレーニングをすれば脳の報酬システムが稼働して、気分もすっきりします。
インターバルトレーニングに関しては、どんな運動でも大丈夫です。ランニングやサイクリングが好きなら、ワークインターバルの間は何かに追いかけられていると想像するといいです。ウェイトトレーニングの場合はクマと戦っているつもりになったり、泳ぐときはサメに追いかけられてる気持ちとか、とにかくどんなスポーツでもこれはあてはまります。
ただ注意した方がいいのは、最初はゆっくり始めることです。アドレナリンが分泌されると、必要以上に強い運動が可能になってしまいます。でもしっかりした筋肉ができあがるまでには時間がかかるし、腱とか靭帯は血流が少ない分もっとゆっくりです。慌てずゆっくり始めないと、どこかしら痛めてしまう危険があります。
同じ運動で効いている感じが薄れてきたら、何かをちょっと変えてみましょう。 脳は未知のものを恐れるので、何か新しいものを試したり、または同じものでも新しい場所でやってみたりすると、アドレナリン分泌に役立ちます。知らない山でスキーするのもよし、ランニングじゃなくスイミングにしてみるもよしです。
退屈は敵です。でもそれは、ちょっと工夫するだけでタダまたは安価に回避可能です。 いつもの運動にちょっとした新しさ、アドレナリン分泌要素を加えることで、再度ワクワク感が得られます。ワクワクがあることで運動効果も高まって、さらに「またやろう」って継続効果も出てきます。
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